久々のblogになりました。
年明けからインフルエンザが猛威を振るい、先々週まではお顔を見る事ができない生徒さんが代わる代わるいらっしゃるという残念な状況。
そういう私も年末からずっと本調子ではなく、一時期はレッスンをするのも精一杯という期間もありました。
『今週こそ全員元気に来て!』と毎週願っていた願いがやっと叶い、先週は体調不良でのお休みさんはゼロでした。
私もやっと体調が戻って参りましたので、ずっと行きたかった『ヘレンド展 ―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯』へ久々のお出かけをしてみました。
ヘレンドについては説明するまでもございませんが、その繊細な手描きの美しい器はこれまでヴィクトリア女王、そして憧れのSissiことエリザベート(エルジーベトの方がしっくりきますが)王妃など各国の多くの王侯貴族に愛された事でその名を広く知らしめ、現代も秘伝の技術を伝承し続けて私達を魅了して止みません。
とは言え、高級陶磁器である為ブタペストにいた当時は残念ながらほとんど興味が湧かず、今回かなり勉強させてもらいました。
その繊細で高貴な佇まいからは想像できない波乱万丈な歴史を経て今に至っていました。
静かな村ヘレンドで創業され、帝室・王室御用達になるまでに発展した頃はオーストリア=ハンガリーの二重帝国時代に突入した為、その頃の作品はドイツ語の文字が入る、『the西側!』という印象です。
特筆すべき事としてはモチーフのヒントとして柿右衛門や伊万里焼の影響を受けている作品もあり、『和』テイストのお皿や壺など混在しているのが何とも興味深いものでした。
その後ウィーン証券取引所での株の大暴落により破産、経営が苦しいものになっても美と技術を追求する歩みは止める事をせず、作品からはそんな内情は全く感じさせない美しさです。
第二次世界大戦後ソ連の勢力圏に置かれ、ヘレンド製作所も国有化されました。
その影響で、贅沢なものから一般人でも手の届くものへ、また共産主義の政治宣伝にも利用された為、全く趣の違う、どちらかというと質素なものになります。
1992年に民営化された後は新たな挑戦へ向けて絵付けの全くない、かなりモダンなものになり『ヘレンド』と言われないとわからない作品もたくさんありました。
ヘレンドと言えばまず眼に浮かぶのは『ヴィクトリア』や『アポニー』、『ウィーンの薔薇』等のイメージでしたが、東西の歴史に翻弄されながら、逆にその両方の文化・価値観を吸収して今日にあるのだという事を理解させて頂きました。
この辺は音楽の分野でも同様の事が言えます。
「じゃあ記念にコーヒーカップでも買って帰ろう!」とは当然ならず、プレート型のポストカードと一筆箋でガマン。
帰りに札幌っ子で知らない人はいない『宮越屋珈琲』が新橋にあるとの事でしばしcoffee break。
帰郷すると必ず立ち寄りますが、数店舗ある東京のお店に入るのは初めての事で、懐かしの『冷たいカフェオレ』を久しぶりに味わいました。
今日は本当に暖かく気持ちの良い一日でした。
少しずつ、少しずつですが日が長くなり春に向かっているものの、まだまだ気温の差が激しく油断できません。
皆さん引き続き体調管理に留意して元気に春を迎えましょう。
東京都港区にて
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