先日大学時代の恩師のご退任記念コンサートと祝賀会に出席して参りました。
播本先生は私が高校三年から大学時代に渡ってご指導下さり、今年東京音楽大学の教授をご退任なさいました。私が
細々ながらもこうしてピアノの世界にいられるのはこの先生のお陰です。
先生とは長い年月お会いする機会がございませんでしたが、こんな年になってもやはり先生にお会いすると背筋がピンと正されます。
日本はもとより、世界各地でご活躍されている播本門下の方々が一堂に会しての、それはそれは豪華絢爛なプログラムです。
はみ出してしまうくらい端っこでも、こんなもの凄い輪の中で勉強させてもらえていたのだなぁと、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
舞台の上で演奏なさる先生は私にとって初めて。
そのお姿は門下の方々との競演を心から楽しまれ、そしてとてもお幸せそうでした。
先生が終演後のご挨拶で「最近のコンサートは面白くないから、何か面白いものを」と仰っていましたが、ホール全体が演奏に魅了され、それを楽しんでいる、素晴らしい演奏会でした。
終演後、更に私を圧倒した事があります。
帰宅の途に着く沢山の観客で溢れ返るロビーは、とてつもない熱気と興奮に包まれ、人々は歩きながらも演奏会への思いを嬉々として語り合っていたのです。
本当に素晴らしい演奏会とは、聴きに来られてなんて幸せなんだろうと思える演奏会とは、こういうものなんだなと強烈に心を打たれました。
祝賀会では先生は私たちに何度も幸せになってほしい、と仰ってました。
また、何が起こるかわからない昨今でもピアノで培われたものは必ず力になる、とも仰ってました。
今の私にとても重く響くお言葉です。
こんな愛情深いお心で沢山の事を教えて下さった播本先生。
当時は先生に付いて行くだけで精一杯でしたが、この演奏会、そして先生のお言葉を胸に刻み、これからも学び続けて行きたいと思いました。
東京都台東区にて
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