まずは1年ぶりのブログの更新となってしまった事をお詫び申し上げます。
ブログを楽しみにして下さっている数少ない方にさえも「もう更新されないのだろう」という諦めモードにさせてしまって久しいかと思います。
本当に申し訳ございません。
今年もトリフォニーホールにてピアノ発表会を開催する事ができました。
今年はこれまでで一番多くの生徒さんが出演して下さいました。
その事ももちろんとても嬉しい事なのですが、私にとってはほんの数年前「ピアノ発表会初めてさん」として一番前で可愛らしい笑顔を向けて集合写真に収まっていた生徒さんが、いつの間にか後ろの段で頑張りきった充実感が溢れ出る、素晴らしい姿で立ってくれている事でした。
これまでずっと発表会を影で支えて下さっているまえだやえこピアノ教室主宰の前田弥生子先生、ピアノ教室ソラージュ主宰の田村真夕子先生、そして長く在籍されている生徒さんや親御様から「生徒さんの成長を強く感じとれる発表会であった」とのお褒めの言葉を頂きました。
ESI PIANO STUDIOとしては今回が8回目のピアノ発表会となりました。
未曾有の感染症に私たちが振り回されていた一昨年は、ホールでの開催が叶わずにビデオ発表会となった回もございました。
8回目ともなればもう発表会開催に対して慣れてくるものだろう、ラクになっていくものだろうと思っておりましたが、全くそうはならずに今年は特に心身ともに苦労しました。
その原因をずっと考えていたのですが、本番の模様を収録した動画で一人一人の演奏を聴いている内に、その答えは単純であった事に気がつきました。
それは生徒さんの演奏曲が難しいものになっているという事でした。
それは曲の難易度が高いという事だけではありません。
話は変わりますがピアノへの向き合い方は人それぞれです。
ピアノを弾く喜び、ピアノが弾ける幸せは誰もが感じてはいても、発表会に出演しようと頑張ってきた生徒さんは「弾いてる自分が楽しければいい」という気持ちだけで曲に取り組んできた方は年齢、キャリアを問わずいなかったはずです。
もちろんピアノは楽しく弾いて欲しい!
ピアノを弾ける自分に誇りを持って欲しい!
それは私の究極の願いであり、自分もそうあり続けたいと強く願い続けております。
特にこの数年の、人との色々を共有する事が憚られた期間はひたすら自分の為だけのピアノを弾き続け、自分の存在価値を何とか見出そうとした日々が続き、それは何とも孤独でありながら幸せな時間でもありました。
話を元に戻して。。。
舞台で演奏するには「自分が楽しければいい」というだけでは成立しません。
何故なら貴重な時間を割いて演奏に耳を傾けて下さるお客様がそこにいらっしゃるからです。
発表会の舞台に立つという決意をした出演者全員が「自分が楽しく弾く事+α」を取り組みの中で持ち始めた様に思います。
それは自らの何かをお客様と共有したいという願いであったり、お客様に対する何らかの問いかけであったり、心の中の気持ちや決意をお客様に向けて表明したいという方もおられたかも知れません。
その目標達成の為にどのように演奏していくべきか、その思いをどの様に作品にのせていくか、曲の難易度が上がれば上がるほど、様々な解釈や多くの方法があり、色々な角度から工夫を凝らした練習を積み重ねていく必要があります。
そして演奏中も都度都度タイムリーに頭を働かせて音を紡いでいきます。
「う〜ん、ここはなんて素敵なメロディなんだろう!」「この難しいところ弾けた私スゴイ!」と感動してる余裕は残念ながらほとんどありません。
その様な事をレッスンの時間で一緒に考えて、理解して、実現できる様に努力していく事が崇高な作業であるが故にとても難しい作業でした。
舞台で演奏するという事は色々な素晴らしい事がいくつも重なり合って実現する事だと感じます。
本番当日まで強い信念を持ち続け、これまでの成果を100%出し切ろうと舞台に立った生徒さんはもちろん素晴らしいですし、おうちでの練習を温かく見守り、病気、怪我なく当日まで心身ともにコンディションを整えて下さったご家族の皆様、出演者たちに向け温かな拍手で会場を包んで下さり、真っさらなお心で一人一人の演奏を受け止めて下さったお客様、出演者の演奏を素敵に演出してくれる舞台を作って下さったトリフォニーホールのスタッフの方々、安心、安全な開催の為にお力を貸して下さったファミリースタッフの方々。
皆さんが素晴らしく、瞬間瞬間を大きな感動によって心を揺さぶられた一日でございました。
出演者皆さんの演奏が私にとって何よりのご褒美ですが、先にも述べたように今回は心身ともに自らに鞭を打ち続けた分だけ、そのご褒美もとても大きなものになってくれました。
本当にありがとうございました。
東京都墨田区にて
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